2017.11.10 09:08いのちの物語Ⅳ「小さな いのち」~春~久しぶりに通ったさんぽコース。楽しそうにあそんでいるきみたちを見つけたよ。春も終わりかけの一年前。ゴミステーションのふくろの上でぴょんぴょんぴょんぴょこ 跳ねながら三匹でなかよく かくれんぼしてた。おなかもすいていたのかな。僕は、もっていた傘をひっくり返し きみたちをのせて歩いたよ。今度は もっと楽しい遊園地へいこうね。ぼくのいえには、大きなねタワーがたってあるからさ。きみたちが見上げるほどの、大きなね。季節が変わりきみたちはどんどんおおきくなったよね。あんなに大きかったタワーからそとを見わたせるほどにまでなったよね。ハスの花って知っている?とってもきれいな花なんだ。花にはきょうみはないかもね。そんなきれいなはすって花は、どろん...
2017.11.06 08:57いのちの物語Ⅲ「小さな いのち」~冬~もう2年が経つんだね。指先もここりそうな さむい冬 走りにいこうとしたぼくの耳にきこえてきたわれるようにひびく 大きな声。おとなの声かと思ったよ。走り終わって戻ってきてもずっとなきやまない 大きな声の主たちが小さないのちだったとはそれはそれは、おどろいたんだ。さむ空の下 段ボールにつめられたきみたちはゴミ袋の中で ずっと、まっていたんだね。だれかが見つけてくれるのを。ほんとうはぼくも、こわかったんだよ。ふくろの中を見ることが。小さな小さな、いのち達。きみたちはぼくに 勇気を与えてくたんだね。
2017.11.02 10:30いのちの物語Ⅱ「小さな いのち」~秋~せんろのそばで遊んでいる小さなきみを見つけたのは 4年前の秋だった。シャーシャーいかくする小さなきみは 母さんとはぐれたのか とても不安そうにしていたね。お腹もすいて いっぱい歩いてキケンな線路をあるいていたね。小さなきみは ほかくきの中でもふきげんで「だれにもさわらせるもんかっ!」ってこっちにおしりを向けたままずっと怒っていたんだよ。だけど、ぼくのうでの中に抱き上げるときみは急に ゴロゴロいいはじめて びっくりするぐらい たくさんたくさん 甘えてきたんだったね。怒っていたのは 怖かったからで本当は 母さんにまだ甘えたくてずっと ないていたんだね。きみのフミフミする前足が僕に 笑顔をくれたんだ。曇り空が 晴れるようなそんなお日さ...
2017.10.29 09:18いのちの物語Ⅰ「小さな いのち」~夏~5年まえの夏 水びたしの小さなきみはどこからともなくやってきた。僕の方を いっしゅん見たかとおもうと 公園のトイレにある 冷たいアスファルトのうえにパタリと横になって たおれてしまったきみ。手のひらにのせたきみの小さな小さな心臓はまだゆっくりと動いていてあたたかかったよ。体のわりに大きな前足を ぐっと つきだしたかとおもうと手を差しのべているかのように 笑ってたね。小さな小さなきみをのぞき込んだらあんしんしたように ねむりについた。だけどぼくはきみが死んでしまうんじゃないかとそれはそれはあせってね、いそいで家につれて帰ったんだ。