2020.09.17 02:31538(ゴミは)どこへ⑧雨にぬれて 傘と子ねこたちがピカピカと 光っていました。 「ねぇ、子ねこさん❓ ハスの花って知っている?」大人になった少女は嬉しそうに 子ねこたちに話しかけます。「花には、興味ないかもね。」クスクスと笑う 大人になった少女の顔を子ねこ達が 見上げていました。子ねこ達をのせた 傘そのものがハスの花のようで とっても綺麗でした。「そんな綺麗な ハスの花はね 泥んこの中から 咲くんだよ。」ゴミの中に咲いていた 小さな命たち。「君たちは 光輝やく花なんだ。」傘をグーっと持ち上げ目線の高さに合わせて そう話しかけると子ねこ達は 満足そうに 笑っているように 見えました。
2020.08.08 03:00538(ゴミは)どこへ⑦捨てられて間もない 3匹の仔ねこは母猫から お乳をもらっていたようで転がるようにまんまるとしていてとっても可愛い仔ねこでした。大人になった少女は 持っていた傘をひっくり返しそこに3匹をのせて 歩きました。傘の上でポヨンポヨンとゆれる 仔ねこをみつめながら満面の笑みを浮かべて大人になった少女は言いました。「ゴミを拾うと 楽しかったの。」「なぜだか 心が軽くなったわ。」「モヤモヤした霧が 消えていくようだったのよ。」「私がきれいになっていくようで 嬉しかったの。」「誰かに何かを言われることよりも 自分が本当にやりたいことを やってみたかったわ。」大人になった少女は 傘にのせられた仔ねこ達たちに語りかけるように優しくそして ニコニコしながら話しました。少女は...
2020.07.12 00:59538(ゴミは)どこへ⑥朝日がのぼりかけ海岸通りに 人の姿が見えはじめゴミ箱のなかに入りながら大人になった少女は 思いました。「どう思われているのかな?」「何を言われているのかな?」周りの目がすごく気になり急に怖くなりました。「何やってんのあの人?」「ゴミをあさってるよ?」「まぁ、汚い。」通りがかる人の声が 聞こえてきました。それはまるで あの時のお母さんのようでした。それでも 大人になった少女は勇気をふりしぼりしめつけられそうな心の痛みを感じながら仔ねこを 一匹ずつ 外に出しました。
2020.06.30 06:50538(ゴミは)どこへ⑤すると 大きくて真っ黒なカラスが数羽。海岸のわきにおいてあるゴミ箱にあつまっていました。「ゴミを食べているのかなぁ?」大人になった少女は そう思いました。けれど 大きくて真っ黒なカラスはゴミではなく そこに捨てられた3匹の仔ねこを ねらっていました。でも カラスは悪くありません。だって カラスも生きていかなくてはならないから。大人になった少女は自分のからだより大きな ゴミ箱のなかへ入りシャーシャーといかくする仔ねこを拾い上げることにしました。仔ねこは ゴミではありません。
2019.06.23 03:00538(ゴミは)どこへ④誰かに、また「汚いよ。そんなことして、何の得になるの!?」と、言われるのがイヤだったので見つからないように朝早くに、拾うことにしました。ザーザー止まない雨の日も、ゴーゴー強い風の日も、バタバタと仕事に疲れて、拾えない日もありました。小雨がふっていたその日。大人になった少女はいつものように海岸に出ました。雨のせいかなぜだか少し胸がドキドキしながら。
2019.06.07 07:33538(ゴミは)どこへ③長い年月が経って少女は大人の女性になりました。たくさんの大人たちの言うことを聞いて周りからは「いい子に育ったわね。」と、言われるようになりました。だけど、大人になった少女はどこかモヤモヤと胸が苦しかったのです。それが、なぜなのかはまだ、分かりませんでした。大人になった少女は久しぶりに子供の頃よくいった大好きな海岸を散歩してみることにしました。そこで見た景色に、ガッカリ肩を落としながらしばらくたたずんだまま景色をながめていました。あの頃のまま相変わらず海岸はゴミでいっぱいだったのです。それでも、大人になった少女に見えるのは太陽にてらされて、ピカピカ光るゴミの山。とうとう、そのピカピカ光るゴミ達を拾う覚悟をしました。
2019.05.27 03:44538(ゴミは)どこへ②女の子は あまり笑うことのない大人しい少女。貝殻を拾ったり 砂に絵をかいたりじぃーと景色を眺めては ぼぉーっとするのが好きでした。少女には いつも気になることがありました。それは とっても綺麗な海岸に たくさんのゴミが落ちていることでした。ある日少女は、そのゴミを拾うことにしました。すると、すごく怖い顔をしてお母さんはこう言いました。「そんな汚いもの拾ってはダメよ!汚れるじゃないの!ばい菌がいっぱいなのよ!病気になったらどうするの!そんなことして何の得があるの!?」でも、少女には怖い顏のお母さんの言っている意味が分かりませんでした。なぜなら、少女にはゴミが光って見えたからです。「こんなに綺麗なのに、どうして汚いって言うのだろう?」「どうして、拾ってはダ...
2019.05.18 03:00538(ゴミは)どこへ①ザブーン ザブーンザブーン ザブーンここは、潮風と波の音がひろがる海岸通り。春には家族で 砂浜を散歩をしたり夏には 透きとおるような海で泳いだり秋には オレンジ色に輝く夕陽をながめたり寒い冬でも 釣りを楽むことができる。たくさんの人々が足を運んでくる美しい海岸通り。そこへ 近くにすむお母さんと女の子が 遊びにやってきました。お母さんは 女の子がはぐれてしまわないようにいつも しっかりと女の子の手を握っていました。