538(ゴミは)どこへ⑥
朝日がのぼりかけ
海岸通りに 人の姿が見えはじめ
ゴミ箱のなかに入りながら
大人になった少女は 思いました。
「どう思われているのかな?」
「何を言われているのかな?」
周りの目がすごく気になり
急に怖くなりました。
「何やってんのあの人?」
「ゴミをあさってるよ?」
「まぁ、汚い。」
通りがかる人の声が 聞こえてきました。
それはまるで あの時の
お母さんのようでした。
それでも 大人になった少女は
勇気をふりしぼり
しめつけられそうな
心の痛みを感じながら
仔ねこを 一匹ずつ 外に出しました。
ー(6)-
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