いのちの物語Ⅰ
「小さな いのち」~夏~
5年まえの夏 水びたしの小さなきみは
どこからともなくやってきた。
僕の方を いっしゅん見たかとおもうと
公園のトイレにある
冷たいアスファルトのうえに
パタリと横になって
たおれてしまったきみ。
手のひらにのせたきみの
小さな小さな心臓は
まだゆっくりと動いていて
あたたかかったよ。
体のわりに大きな前足を
ぐっと つきだしたかとおもうと
手を差しのべているかのように
笑ってたね。
小さな小さなきみをのぞき込んだら
あんしんしたように ねむりについた。
だけどぼくはきみが
死んでしまうんじゃないかと
それはそれはあせってね、
いそいで家につれて帰ったんだ。
2コメント
2017.10.30 06:24
2017.10.29 12:44