幸せの在処はどこニャンだ？５1～もうひとりの僕に出会うとき～

僕は、まだ子猫の時に

公園に捨てられたけど生き延びて

自由氣ままに暮らしている

「捨てねこトヨ」って、言うんだよ。

あぁそう、これね？

シッポの先端が曲がってるんだ。

面白いだろ？幸運のカギしっぽって言うんだよ。

捨てられた僕が言うのも、何なんだけど…

公園に遊びに来た人達に

なぜだか分かんないんだけど

幸せの在処を話すのが、日課となっているんだよ。

昨日公園で、パトロールをしてたらさ

なぜだか急に涙が出てきたんだよ。

ありがとう。って言葉と一緒にね。

あーそうか。

僕のハートの中にいた、小さな小さな固まりは

見つけて欲しいはずなのに

見つけられるのが怖くてさ

暴れてみたり、拗ねてみたり

逃げようとだってしてみたんだよね。

子供みたいな僕

失敗だらけの僕

優しい僕に、強い僕

どれも本当の僕だった。

どうして目を背けてしまったんだろう？

僕が僕であることを。

過ぎてしまったものにとらわれて

過ぎさったものにこだわっていたから

本当の僕に出会うのが

怖かったのかもしれないね。

だけどふっと、体のチカラが抜けた時

本当の僕がそこにいて

その純粋さに触れちゃって

僕は思わず、微笑んでしまったんだ。

本当の僕っていうのはさ

過去や未来の、記憶の中にはいなくてさ

今、目の前にいる僕だから。

もうひとりの僕が僕に言う。

安心していて大丈夫だよ。

どれも本当の僕だから。

僕が僕に出会う時、全てが僕だと分かる時。