幸せの在処はどこニャンだ？４９～天国からの、贈りもの～

僕は、まだ子猫の時に

公園に捨てられたけど生き延びて

自由氣ままに暮らしている

「捨てねこトヨ」って、言うんだよ。

あぁそう、これね？

シッポの先端が曲がってるんだ。

面白いだろ？幸運のカギしっぽって言うんだよ。

捨てられた僕が言うのも、何なんだけど…

公園に遊びに来た人達に

なぜだか分かんないんだけど

幸せの在処を話すのが、日課となっているんだよ。

今日は珍しいお客さんだよっ。

天国へ行った猫さんが、空から遊びに来てくれたんだ。

どうやら元の飼い主さんが

ずっと元氣がないからって

喝を入れてやりたいんだってさ。

『会えなくなるのはさみしいけどね

　僕のせいで飼い主さんが

　元氣がないのを見てるのは

　もっと辛い事なんだよって。

　いいかい？僕の幸せは

　「君も」幸せであることなのさ。

　どんな最期を迎えても、これが僕の寿命だから。

　だから君も、後ろばかりを見てないで

　たまには上を見上げてくれよ。

　そこに僕は居るからさ。

　いつでも近くにいるからさ。

　呼べば返事だってするからさ。

　あーそうか。君は期待しちゃったんだね。

　楽しかった時間がさ、長く続きますようにって。

　僕が長生きをすることを。

　いつまでも君の傍にいることを。

　僕が地球に来たのはね。

　色んな経験をするためなんだ。

　いい事だけが全てじゃなくて、喜怒哀楽の全てをね

　もう味わったから満足なのさ。

　だから何の後悔もなく

　故郷へ還っただけなんだよ。

　あの時の出来事も、あの時のハプニングも

　全部が僕の想定内さ。

　だって僕達は初めから、限られた一定の時間だけ

　君達と幸せを共有するために

　遊びに来ただけだから。

　だからもう君達も、今を大事に生きてくれよ？

　過去や未来に囚われず

　今を無駄にしないでおくれよ。

　僕がどこにいてようと、君は幸せでいいんだよ？

　君が幸せだからこそ

　僕も安心して見守れるからね。

　君が人生を遊んでいれば

　僕が天国で遊んでいる事も

　分かるようになるからさ。』