幸せの在処はどこニャンだ？２０～君が本当に、ほしいもの～

僕は、まだ子猫の時に

公園に捨てられたけど生き延びて

自由氣ままに暮らしている

「捨てねこトヨ」って、言うんだよ。

あぁそう、これね？

シッポの先端が曲がってるんだ。

面白いだろ？幸運のカギしっぽって言うんだよ。

捨てられた僕が言うのも、何なんだけど…

公園に遊びに来た人達に

なぜだか分かんないんだけど

幸せの在処を話すのが、日課となっているんだよ。

今日は、とっても、忙しそうなお兄さんが来たよ。

ひっきりなしに電話が鳴って

難しい顔しながらさ

ずっと、スマホと向き合ってるよ。

せっかく公園に来たのにさ

星も見ないで帰るのかい？

僕は星が好きだから、何かあったら上を向いて

ニッコリ笑顔で、バンザイするんだっ。

これは、ナイショの話だけどさ

星が教えてくれたのさ。

両手を上にあげるとね

マイナスがプラスに変わるんだよ？

あーそうか。お兄さんは、救いを求めているんだね。

電話の向こうの、誰かにさ。

だけどね、お兄さん。救いの声を聞かずにさ

拒否しているのは君じゃない？

本当に君が欲しいのは、着信音じゃなくってさ

安心感って、救いだろ？

だったら、ここにあるじゃないか。

誰かの声じゃなくってさ、君の声を聞いてみなよ？

たまにはスマホの電源切って

静かに星でも見ながらさ

自分の本音を聞いてみなよ。